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Wi-Fiが急にダウンしました。そのとき何がおきたのでしょうか。

Wi-Fiとは?

Wi-Fiとは,無線を使ったLANの関連規格の一つになります。
パソコンやタブレット,スマホをインターネットにつなぐ際に使用されることも多いかと思います。
自宅で,職場で,ありとあらゆるところで使用されるWi-Fiですが,ある瞬間,いきなりつながらなくなることがあります。

よ~く調べてみると,機械は壊れていないようです。
しかも,しばらくするとまるで何事もなかったかのように再び動き出します。

何があったんでしょうか?

Wi-Fiは電波を使います。

配線をせずに使えるWi-Fiは,電波を使っています。

この電波がくせ者で,電波の作り方,出し方,電波からの信号の取り出し方によっては,弱い電波は強い電波にかき消されてしまうことがあります。

Wi-Fiが一般的に使う電波について見てみましょう。

Wi-Fiが使う電波はどのようなものか。

電波は,空間を伝わる波で,その性質を特定するには,「周波数」を数える方法があります。

つまり1秒間に何回振動するのかということを数えます。

Wi-Fiが使っている電波の周波数を数えてみますと,圧倒的に多いのは,2,400MHz(Hzはヘルツと読み,1秒間の振動数を表します。Mはメガと読み,1Mで100万倍になります。)帯の周波数になります。

2,400MHz帯の電波の特徴

2,400MHz帯の電波の特徴ですが,水に吸収されやすいという特徴があります。

水に吸収されたらなにが起こるかですが,水の温度が上がります。

詳しい説明をし出すと収集が付かなくなるので割愛しますが,要は電波が水分子を揺らし,水の温度を上げているわけですね。

このように,ある特定の周波数の電波は,特別にISMバンドと定義され,Wi-Fiのような電気通信以外の工業(Industrial),科学(Scientific)そして医療(Medical)用途での利用が認められているものがあります。

その代表例が,電子レンジになります。

電子レンジは,2,450MHzの高出力な電波を用いて,食品を加熱する便利な道具ですが,その内部では電波を使っているわけです。

実際問題,電子レンジから電波が漏れるのか。

結論から言うと,わずかに漏洩します。

ただ2,450MHz帯の高出力な電波がそのまま漏れたら人体に害を与えかねないのでその漏洩量は,まずもって人体に害を与えないレベルまで下げられています。

電子レンジのガラスフタを見てください。

そこに金網が必ず張られていると思います。

電子レンジの電波からすれば,その金網は,ツルツルの鏡レベルで,すべて反射されてしまい,まずもって穴を通り抜けることはまず無理ということになります。

ただそれでも,100%漏洩を阻止することはできず,どうしても少しだけ漏れてしまいます。

もし電子レンジを分解してこの金網を外すような改造をしてしまった場合,非常に危険な状態になるわけです。

(電子レンジ内部には,高電圧を発生させる部品があります。本当に危険なので分解はしないでくださいね。)

人体には害を与えないが・・・・・・,Wi-Fiに与える影響

電子レンジから漏れ出る電波は,確かに人体に害を与えることはまずない水準となっています。

それでもWi-Fiの電波からしたら十分すぎる位に強力です。

なので距離次第によっては,Wi-Fiの電波がかき乱され,つながらなくなることがあるのです。

なぜWi-Fiの電波がISMバンドにあるのか。

Wi-Fiの電波がなぜISMバンドにあるのか。

一説には,Wi-Fiを含む無線LANというものが,無線機器のなかでは比較的重要性が低いから,というのがあったりします。

というのも,ISMバンド以外の電波は,重要な無線通信に用いられており,むやみやたらな電波の発射により混信が起こると,国境を越えて,社会生活上重大な影響を与えるおそれがあります。

例えば121.5MHzや243MHzの電波を勝手に出すとかなりのおおごとになります。
(この周波数は,航空用の非常用周波数になります。過去にアメリカでコードレス電話から121.5MHzの信号が出たことがありましたが,その際は航空当局が草の根分けて発信源を特定し,使用禁止措置を取るまでになりました。)

このため,新たな電波の利用方法については,実は一国だけでは決めることができず,電波資源利用を巡る国際問題として,実はわりと難しい問題をはらんでいました。

そこで目をつけられたのがISMバンドです。

ISMバンドでは,もともと工業(Industrial),科学(Scientific)そして医療(Medical)用途で,強力な電波の放射が行われていました。

つまり有害な混信が発生する可能性が高いので,重要な通信用途への割当てがそもそもされていなかったというものがあります。

そこでいわば逆転の発想とでも言える形で,各国規制当局は,ごくごく微弱な電波出力,混信を受けたとしても差し支えない重要さといういくつかの要件を満たす新しい無線通信業務への割当てを行いました。

その一つがWi-Fiだったのです。

実のところ,ISMバンドは,本来電気通信の用途に割り当てられたものではありませんでした。

となると一つ,問題が発生します。

混信です。

Wi-Fiの電波と電子レンジの電波は重なっている

もともと使いやすかったISMバンド,こちらにWi-Fiを割り当てたことで,Wi-Fiは電波利用上有利な地位を獲得し,一気に普及していくこととなりました。

となると問題は,本来のISM機器が引き起こす混信問題です。

Wi-Fiが利用する周波数帯である2,400MHz帯は,電子レンジの利用周波数である2,450MHzと重なっており,人体レベルでは悪影響を与えない漏洩であっても,通信を妨害したりするにはときとして十分だったりします。

このため,Wi-Fiを利用中にランチを電子レンジで温めると,Wi-Fiが途切れるという現象が起こったりすることがあります。

電子レンジを停めてしまえば,混信は止みますので,再びつながるようになるのです。

Wi-Fiが途切れるが,原因はお隣の電子レンジっぽい。なんとかならないか。

もともとWi-Fiの電波は,本来的用途としては,電子レンジのようなISM用途に用いられるとしました。

だからWi-Fiは,電子レンジ等ISM機器からの有害な混信を受忍しないといけません。

つまりこの場合,お隣さんに対し,「Wi-Fiが途切れるから電子レンジを使わないでくれ!」と言うことはできないことになります。

お隣さんと平和にお付き合いするしかないでしょう。

アマチュア無線にも2,400MHz帯の電波が割り当てられることがあります。

Wi-Fiの電波は,アマチュア無線など免許を受けて運用する無線局から有害な混信を受けることがあります。

この場合,アマチュア無線局側に異議を申し立てたりすることができず,むしろ,アマチュア無線局側から中止を要求されたら,Wi-Fiの利用者は従わないといけません。

ここもお隣さんとは平和にお付き合いするしかないでしょう。

混信から逃れる方法~新しい周波数帯の機器を利用する

以上のように,2,400MHz帯のWi-Fiは電子レンジから妨害され,その他の機器から妨害され,アマチュア無線局から使用中止要請を受けたら従わないといけないかなり低い地位にあります。

どうしたら,安定的にWi-Fiを使えるか,その一つの答えが新しい周波数帯の機器を利用するというものがあります。

例えば,昨今,5GHz帯の機器が発売されており,この機器を利用して,この周波数帯を利用すれば,電子レンジからの妨害を避けることができます。

また2,400MHz帯は,Bluetoothやコードレスフォン,ラジコン等,様々な無線機器がひしめいていますので,これらからの混信も避けることができることになります。
(ただし,他の機器も5GHz帯に引っ越してきたらまた同じ問題が起こるでしょうが。)

5GHz帯機器の利用上の注意

4つぐらい注意があります。

一つは,到達距離が短くなる可能性があること。電波は周波数が上がれば,上がるほど,基本的には壁などを透過する力が弱くなってしまうことがあります。ここは実際に使えるか試してみましょう。

二つ目は,屋外での使用が電波法上,禁止されているものがあることです。この場合,屋外で使用してはいけません。取扱説明書と,ご自身でした設定をよく確認しましょう。

三つ目,有害な混信を避けることはできますが,今度はレーダーの電波と重なってしまいます。現在該当周波数を用いるWi-Fi機器は,設定された周波数の電波を検知すると,自動的に一定期間,電波の発射をストップする機能があります。これにより一時ダウンしてしまう可能性はどうしても避けられません。
この場合,別の周波数を探ってみましょう。

四つ目は,親機だけでなく,子機も対応した機器にしないといけないということ。親機だけ5GHzにしても動きません。

5GHz帯機器の良い点

代表例は,十中八九,速度があがること。

これは混信を避けることができること,技術革新,その他諸々があります。

ようは妨害電波の影響を受けることが少なくなり,また一度に送る情報量が増えるのでそれによる恩恵にあずかることができるわけです。

ただ注意点もあるので,取扱説明書をよく読み,正しく利用されてください。

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